photo credit: Ian D. Keating The Softest Sand via photopin (license)
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アフリカのほぼ中央に位置するコンゴ共和国。
その北東部、ルワンダやウガンダとの国境近くにヴィルンガ国立公園があります。
ヴィルンガ山地とルウェンゾリ山地に囲まれ、カバの生息するエドワード湖を有するこの国立公園は、マウンテンゴリラの保護のために、ベルギー領であった1925年、「アルバート国立公園」として設立されました。
アフリカでもっとも古い国立公園であり、1979年に世界遺産に登録されています。

現在、絶滅の危機に瀕するマウンテンゴリラは、地球上にわずか800頭あまりしか生息していません。
その約半数がヴィルンガ山地に生息しており、ヴィルンガ国立公園にも約200頭がいます。

・ゴリラの聖地のはずが…
本来なら豊かな緑と湖という地理的条件に恵まれていたヴィルンガ国立公園ですが、これまでに何度となく危機に瀕してきました。
1960年にベルギーから独立して以降のザイール(現在のコンゴ)は動乱や紛争が後を絶たなかったのです。
1965年、クーデターによって独裁者となったモブツ大統領は、この公園を「ヴィルンガ国立公園」と名称を変更し、存続させることにしたのですが、その後の公園の歴史は、殺戮と破壊の歴史でもありました。
密猟者の手によって、マウンテンゴリラは食肉や密売のために捕獲されました。

また、それを止めようとしたレンジャーも、数多く命を落としたのです。また、木炭を得るための森林伐採も進みました。
1994年、隣国で起こったルワンダ虐殺とそれに続く20万人にも及ぶ難民は、この地にも流入します。
それによってこの国立公園の森林破壊もいっそう進行しました。
武装した民兵が入り込み、公園内のカバを大量に殺戮するということも起こりました。

このときヴィルンガ国立公園は「危機にさらされている世界遺産」に登録されました。
1997年、モブツ政権が倒れ、国名がコンゴとなっても、政情不安は続きました。
2000年代に入ると、コンゴ北部でキヴ紛争が勃発、この公園も戦闘に巻き込まれたのでした・・。

・マウンテンゴリラを守る人びと
2008年ごろからコンゴ情勢がいくぶん落ち着きを取り戻し、国立公園の管理はコンゴ自然保護協会(ICCN)の下に置かれるようになりました。
基盤整備のために国際的な寄付が呼びかけられ、エコツーリズムを目的とした観光地として復活をとげようという取り組みがなされ、人びとの努力によって、マウンテンゴリラの個体数も徐々に増加するところまで来ていたのです。

photo credit: Julien//K Alone via photopin (license)
photo credit: Julien//K Alone via photopin (license)

・未だ聖地にはほど遠くても
ところが、いまなお動乱のさなかにあるコンゴ。
ヴィルンガ国立公園でも共和国軍と反政府勢力の戦闘が続いています。
激しい戦火の中で犠牲になる野生動物たち。
レンジャーも公園内に立ち入ることさえできない状態です。
マウンテンゴリラをはじめとした絶滅の危機にある野生動物たち。その未来を見守っていきたいと思います。