もし弱めんと欲すれば


まずは強めるべし。

というのは、最近ハマっている漫画「シグルイ」の中で、藤木源之助が虎眼流奥義を会得する際に胸の内で発した言葉。

しばらくぶりのイスラエル・レバノンネタです。
国際派ジャーナリストとして人々に認知され、なかなかの影響力を持っている田中宇氏の記事によると、アメリカはイラク占領で泥沼にはまっており、イスラエルを支援することは不可能。それどころかブッシュはイスラエル潰しを狙っているとしている。
さらに、イスラエルはレバノンでの戦闘でヒズボラを掃討できず、実質負け戦をしたとし、さらにさらに、弱いヒズボラすら屈服させられなかったのに、イスラエルはシリア、ひいてはイランと戦争するという。

要するに、アメリカもイスラエルも弱体化しており、それに対し、レバノン(ヒズボラ)、シリア、イランは相対的に強くなっているというのが田中氏の見解。

アメリカもイスラエルも、ちっとも苦戦なんかしていないし、弱ってもいません。田中氏の記事は一見筋が通っているように見えるけれど、完全にデマです。

イスラエル軍の空爆により、レバノン国内の空港、港、幹線道路、主要な橋梁はほとんど全て破壊されており、レバノンではひとつの村から隣の村に移動するのもおぼつかないほどに交通がズタズタにされています。
そんな状態の土地に、仮にシリア軍が進駐してきても、イスラエルの爆撃の的になるだけ。シリアにしてもイランにしても、レバノンに自国の軍を出しても、イスラエル軍に打撃を与えることなどできません。

イスラエルがヒズボラ掃討の名目で、レバノン中の交通の要所を破壊したのは、レバノンを緩衝地帯として利用するつもりだったのではとも考えられます。

強いとは言え、人口ではシリア+イラン+ヒズボラに圧倒的に劣るイスラエルにとって、広い戦線での地上戦闘は避けたいところでしょう。なので、交通の要所を全て破壊し、クラスター爆弾(親爆弾から大量の子爆弾が散布される爆弾)で信管が生きたままの不発子爆弾を地雷代わりにばら撒いた。
(地雷の空中散布は国際法で禁じられているので、建前では地雷ではないクラスター爆弾の子弾を地雷代わりに使ったと考えられます)

こうして地上での大規模な兵力の移動を困難な状態にしてしまえば、航空戦力では圧倒的に優位にあるイスラエル軍は、安全な陣地を築いたのと同じことになります。

ということで、イスラエルは全然不利な状況にはなっていないわけですが、それをそのまま言ってしまうと、シリアもイランも絶対に攻めてこないので、イスラエル(ユダヤ人)の息がかかったマスコミを利用して、いまこそイスラエルを攻める時だと煽りたて、シリアとイランをレバノンに引きずり出し、侵略してきたのはシリアとイランという既成事実を作り、叩くということになります。

もちろんアメリカは、その時になったらイスラエルを支持し、いま欲しくてしょうがないイランを制裁する口実を得て、正義の名の下に堂々とイランに侵攻するでしょう。

田中氏は、ユダヤ人が作った奨学金を使って、ユダヤ人エリートが集うハーバードで、ユダヤ人が支配するマスコミにコネをつけた人なので、彼がイスラエルがらみの発言をした場合は眉に唾して見ないといけません。

今回の彼の記事は、最終的にイランを弱めんとするために、イスラエルが苦戦したと報じて、相対的にイランが強くなったと世論を誘導したということです。